ライススタイルショップハラダ Rice Style Shop HARADA

Rice Style Shop HARADA 2022 Shop Design

ライススタイルショップハラダ 鹿児島県薩摩川内市 2022年 店舗デザイン

 

無機質なぬくもり

 

五つ星お米マイスター、米・食味鑑定士のオーナーが経営するお米店のリノベーション。計画地は鹿児島県薩摩川内市にある、市比野温泉郷の入口にあり、長年この地で米店を営業されてきた。元々湯治場として有名な温泉街であったが、現在はほとんど人気はなく、温泉も地元の方が入るような公衆浴場のみで、非常に淋しい通りとなってしまった。店舗の特徴としては、全国各地からこだわりのお米を厳選し、地元の方向けに店頭販売されたり、ECサイトで全国に配送されたり、鹿児島県内の飲食店にも多くの顧客を持つなど幅広いニーズに対応されて来た。

 

今回店舗兼倉庫の部分を、更にお米について学び、体験して食べられる場所にし、お米の魅力を伝え、より多くの方に食べて頂くため、新たに計画しました。全国から約50種類程度を取り寄せ、そこから店頭で常時10種類のお米を量り売りで精米販売し、用途や好みに合ったお米を好きな量だけ買って帰れる販売部分と、お米を美味しく炊くための米炊き体験出来る教室部分、そしてそれを食せる飲食部分の3つの用途と区画を緩やかに分けて繋げて、空間を一体にさせることが良いと思い計画した。

 

そこで店舗手前から販売部分、中央に飲食部分、中央から奥にかけて体験できる教室部分とし、中央にこの店舗のアイコンとも言うべき『おくどさん(竈門)』を、店内どこからでも見られる位置に配置し、子供から大人まで薪で米を炊く体験とそれを見ることができるようにした。あえて既存のコンクリートの荒々しさをデザインに取り入れることで、そこに置かれた木製の家具や、竹や木などの自然素材で作られた調理道具、お米や薪などに触れた時、香りがした時、食した時などの素材の温もりを五感でより感じて頂けるよう、空間はあえて無機質な素材を使うことにした。またより深い体験をして頂くために、奥の壁には四季の田んぼの風景を撮影した映像を投影し、BGMには四季の田んぼの音を流して、米炊き体験をしている間に、米作りを擬似体験できる仕掛けを提案し、五感を使ってお米と向き合える空間となった。

 

店舗が新しくなることで、街に人が増えるわけではないが、過疎化した温泉街を少しでも盛り上げるために、『1分1秒の滞在時間を延ばしていく』ために、お米で作ったジェラートを提案。またワンハンドで食べられるメニューも提案し、これらは温泉街を歩いてもらう仕掛けであり、店舗から徒歩圏内にある無料の足湯に歩いてもらうための動線を提案した。また温泉街に更に店舗を増やすために、『1店舗1ネオン』を提案。元々温泉街にある飲み屋街などを『ネオン街(ネオン看板のある)』と呼んでいたことから、若い人達がネオン看板を使ってお店を出店することを願い、まずその第一弾として店舗看板にネオンを使うことで、街のあかりを灯し続けることを願いデザインした。 

 

 

2023年優良経営料品小売店等表彰事業 農林水産大臣賞(最優秀賞) 受賞

 

ライススタイルショップハラダ

住所:鹿児島県薩摩川内市樋脇町市比野2454-1

web:https://www.riceperformance.jp/

 

 

計画種別:店舗デザイン

用途:飲食店

構造:鉄筋コンクリート2階建て

面積:1階店舗床面積:108.30㎡

   

設計監理:設計事務所アトリエボンド

施工:日笠山建築