菓子処 ジャマン Kashidokoro Jamin

Kashidokoro Jamin 2024 Shop Design

菓子処 Jamin 京都府長岡京市 2024年 店舗デザイン

 

参道に佇む数寄屋風情の焼き菓子店

 

 

 

有名ホテルでトップパティシエを経験されたオーナーが経営される、洋菓子店のリニューアルに伴いブランディングと店舗デザインをさせて頂きました。計画地は京都府長岡京市。近くには菅原道真公を祀った長岡天満宮があり、そこからJR長岡京駅に伸びる道を一歩入った場所にある。またその道は近い将来長岡天満宮の参道に位置付けられるための、道路拡張工事を含めた再開発を現在行なっているため、将来の参道を見据えた計画を提案した。

 

以前のお店と大阪府にもあるお店では、どちらもケーキが美味しいと有名でありましたが、今回は焼き菓子専門店ということで、焼き菓子をどのように販売するか?というところから計画を始めました。焼き菓子というとケーキ店の隅にディスプレイされ、個包装の袋に入って見た目だけで味を想像しなければならないような感じもあり、今回焼き菓子がメインということで、焼き菓子のこだわりやディテールまで感じて頂ける販売方法を提案しました。焼き菓子を袋に入れず、ショーケースも設けずにカウンターに並べ、香りや断面まで見える状態にしてディスプレイして、購入頂くものは別で個包装し、保管したものをお渡しするというオペレーションになりました。

 

焼き菓子は様々な種類があるものの、基本的には同じ材料で出来ていることが多く、作る工程や一部材料が違うなど基本的には材料を混ぜ合わせて、型に入れて焼いて出来る。非常にシンプルですが故に難しく、味も店舗によって大きく違うそうです。店舗のデザインもその焼き菓子同様に焼き菓子のような工程で出来る素材を選びデザインした。土を水などを混ぜて型に入れて焼くレンガを使用し、同じく土と水などを混ぜて塗る土壁を使用し、元々焼き菓子は薪で焼かれていたことから焼杉を使用することで、焼き菓子の工程を建築の素材を用いてアプローチした。

 

長岡京市は竹で有名な地域であり、竹は茶室で有名な数寄屋建築で多く用いられた。京都は数寄屋建築が数多く存在する場所であり、数寄屋建築に携わる職人も多い。今回家具を作ってくれた職人から、50年以上前に作られた数寄屋建築の竹材を譲って頂くこともきっかけとなり、3坪程度の狭い販売スペースは正に茶室のようであり、限られた素材とスペースで客をもてなす茶室のような空間を提案した。数寄屋建築は自由な発想を求めて生まれた経緯もあり、同じような材料から型に入れて完成する焼き菓子と相反する位置にあるが、型に囚われない自由な発想で焼き菓子を作るというコンセプトのもと、洋菓子店でありながら、数寄屋風情な店舗は、そのような自由な発想から魅力的な商品が生まれることを願ってデザインしました。

 

 

 

菓子処 Jamin

住所:京都府長岡京市開田4丁目8-1 長岡中央第一ビル015

web:https://jamin-nagaokakyo.com/

 

 

計画種別:店舗デザイン

用途:小売店

構造:鉄筋コンクリート構造

面積:1階店舗床面積:20.83㎡

   

設計監理:設計事務所アトリエボンド

施工:歩建築工房

写真:母倉写真事務所